相続が発生したとき(被相続人の死亡のとき)から、相続財産は相続人の共有となります。
この相続人による共有状態の財産を、各相続人にわけていく手続きが遺産分割手続きであり、相続人全員で「遺産分割協議書」を作成することになります。
この遺産分割をしないと、預貯金は引き出すことができませんし、不動産の名義も変更することができません。
いつまでも不動産の名義が亡くなった親の名義のままである方がいらっしゃいますが、将来の売却や相続などで必ず問題となります。
「遺産分割協議書」には、相続人全員が署名し、実印で押印し、印鑑証明書を添付します。不動産の登記(名義変更手続き)には、遺産分割協議書が必要ですので、不動産の登記簿謄本の通りの記載をしておく必要があります。
被相続人が遺言書を残していたとしても、相続人全員の合意があれば、遺言と異なった遺産分割をすることもできます。
法律で定められた遺産分割の期限はありません。しかし、「配偶者の相続税額の軽減」や居住用宅地の評価額が減額される「小規模宅地の特例」では、相続税の申告期限である相続から10ヶ月以内に財産が分割されていることが要件とされています。
財産全体の分割が決まらなくても、例えば、預貯金の遺産分割だけを決めて遺産分割契約書を作成し、預貯金を相続人の口座に移すといったことも可能です。
分割が難しい自宅などが主な遺産である場合などは、相続人のひとりが全ての財産を相続し、他の相続人に対して金銭で支払うという「代償分割」という方法、もしくは財産を売却してその代金を分割するという「換価分割」という方法もあります。
ただし「代償分割」は、ひとりの相続人が相続税の支払いに加えて他の相続人に金銭の支払いを必要とすることになります。また「換価分割」は、相続財産を売却するため、売却にかかる所得税の支払いを考慮する必要があります。
遺産分割は、預金や不動産の名義変更という観点だけではなく、税金が大きく関係してきます。遺産分割協議書の作成にあたっては、税の専門家である税理士のアドバイスを受けることを強くお勧めします。
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