非嫡出子の相続分

いわゆる「婚外子」を法律上では「非嫡出子」と呼びます。婚姻関係にある男女間に生まれた子を「嫡出子」と呼びますが、嫡出でない子を「非嫡出子」と定義され、いかにも冷たい響きのする法律用語です。

民法では、その「非嫡出子」の相続分は「嫡出子」の2分の1とされていますが、2013年9月4日の最高裁判所の判決で、法の下の平等に反するものであり憲法違反とされました。

「非嫡出子」の方にとって長年待ち望んだ画期的な違憲判決ではありますが、婚姻とは何か、家族とは何かが強く問いかけられている重い判決でもあります。

さて、その判決を受けて、国税庁は9月24日に「相続税法における民法第900条第4号ただし書前段の取扱いについて(平成25年9月4日付最高裁判所の決定を受けた対応)」を発表しています。

http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h25/saikosai_20130904/index.htm

次のような内容となっています。

① 平成25年9月4日以前に相続税額が確定している場合

判決の影響を受けません。仮に「非嫡出子」の相続分を「嫡出子」と同じく計算をした場合に、相続税額が減額されたとしても、そのことを持って更正の請求による還付請求をすることはできません。

② 平成25年9月5日以後に相続税額が確定する場合

最高裁判決に従った相続分で計算がされます。これには、大きく次のふたつのケースがあります。

平成25年9月4日以前に確定していた税額が異動するケース・・・例えば財産の申告漏れなどがあって、修正申告や税務署長による更正が行われる場合が該当

平成25年9月5日以後にあらたに相続税が確定するケース・・・期限内申告が提出される場合、期限後申告書が提出される場合、納税者が申告をしていなかったことにより税務署が決定する場合が該当

違憲判決によってもたらされた「平等」は、当事者の方にとって重い意味を持ちます。将来の相続に向けた遺言の検討などにも大きい影響を与えることになると思います。

お悩みの方は、税務の取り扱いとあわせ、専門家への相談をおすすめします。

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