戦争中に結婚し、結婚後まもなくご主人が戦争に出て戦死、再婚することなく90歳近くの天寿を全うして、亡くなられた方(被相続人)の相続税の申告を作成したことがあります。
生前、教育者としてお仕事をなさっていた被相続人の遺品を見て、その方の人生に思いをはせると、つい歴史と見てしまいがちである戦争というものが、とても近いものに感じられました。
さて、このような子供も配偶者もいない方が亡くなられた場合、相続人は誰になるのでしょうか?
① 相続人
相続人は、配偶者相続人と血族相続人に分類されます。
配偶者は、常に相続人になります。婚姻届が出されていなければなりませんので、「内縁の夫婦」は相続人になりません。
血族相続人は、次の順位で定められています。
第一順位 子などの直系卑属
第二順位 父母、祖父母などの直系尊属
第三順位 兄弟姉妹
第一順位から優先的に相続人となり、第一順位がいなければ第二順位、第二順位もいなければ第三順位となります。
つまり子供がいれば子供、子供がいなければ親、親が亡くなっていれば兄弟姉妹となります。
第一順位から第三順位までいない場合には、配偶者が単独で相続します。
② 代襲相続人
被相続人の子および兄弟姉妹で、被相続人より先に亡くなっている人がいる場合に、その子供(孫、甥、姪)が代わって相続人になることができます。これを代襲相続人とよびます。
孫が死んでいる場合には、さらにひ孫への代襲相続はあります。甥、姪が亡くなっている場合に、その子供への代襲相続はありません。
さて、先にご紹介した相続のケースでは、配偶者も子供もいませんでした。ご本人が90歳近くで亡くなられていますので、親は既に他界していました。兄弟姉妹は5人いらっしゃいましたが、全員亡くなられていましたので、甥と姪が相続人となりました。
甥と姪のうちでも、既に亡くなられている方はその子供への代襲相続がありません(甥の配偶者がご健在でも相続人にはなりません)。
結果的に、5人いた兄弟姉妹の子供のうち、相続人となったのは、ふたりの甥でした。
事例によっては、兄弟姉妹の場合には、相続人がたくさんいらっしゃるケースもあり、相続人の話し合いをまとめるだけでも大変です。本件ではお二人ということで、スムーズに遺産分割の話もまとめることができました。
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